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次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?/柴崎友香 |
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表題作は「青空感傷ツアー」にも似たロードムービー風な作品。 才能あるけどわがままな主人公に振り回され、4人を乗せたクルマは迷走する。 険悪なムードも漂うが、何だか憎めない。 そして、最後は爽やかな心地よさが残る。 もうひとつの「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」は、 失恋のショックから、すぐに眠気に襲われ、 いつでもどこでも爆睡してしまう女の子の話。 少女漫画なんかでありそうな設定だけど、 一人称の主体がころころ入れ替わる手法がおもしろい。 こちらも、まったりと心地よいエンディング。 何気ない日常の中のささやかな幸せを描かせたら、やっぱりうまいなぁ。 |
トリツカレ男/いしいしんじ |
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セカチューの100倍くらいピュアなラブストーリー。 これぞ、まさに“無償の愛”。 ファンタジーなので、非現実的な話ではあるけれど、 だからこそ、究極の“ピュア”を描くことができた。 これはもう、現代の宮沢賢治と言ってもいいでしょう。 そして、読み終わった時、誰もが笑顔になる完璧なハッピーエンド。 心が洗われます。 |
陰日向に咲く/劇団ひとり |
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爆笑問題の太田光を始め、多くの人が大絶賛している、劇団ひとりの小説デビュー作。
直木賞は大げさかもしれないけど、なるほどおもしろいし、良くできていると思う。 1編目の「道草」は、やや文章がぎこちないけど、 2編目からは急激にうまくなっていて、最後まで一気に読める。 5つの短編は、それぞれ文体を変えているものの、 切なくてほろ苦いトーンで貫かれていて、 少しずつ登場人物が重なっていることもあって、通して1つの作品となっている。 伊坂幸太郎の「死神の精度」ほど完成度は高くないけど、 デビュー作ということを考えれば、上出来だ。 勝ち組なんて、所詮、運が良かっただけ。 どんなに頑張っても、どうにもならないことはある。 すなわち、「格差社会」は数字的な格差が問題なのではなく、 「あきらめ」てしまうことが問題なのだ。 本質が見えていない(見ようともしない)バカな政治家に読ませて、 陰日向に咲く花があることも知らしめたい。 |
テロリストのパラソル/藤原伊織 |
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江戸川乱歩賞、直木賞のダブル受賞作。 今の時代に馴染めない全共闘闘士という設定は、 矢作俊彦なんかの小説にもよく見られるが、 不器用に信念を貫き通す生き方が、ハードボイルド向きなのだろう。 短いフレーズを積み重ねるスタイルが、クール&ドライで、 かつ、小気味好いテンポを生み出していて、 さらに、複雑に絡み合う登場人物たち一人一人をきっちり描き込むことによって、 物語に深みと重みをもたらしている。 そのあたりが単なる“ミステリー”ではなく“文学”として認められ、 直木賞も獲得することに繋がったのかもしれない。 |
だれかのことを強く思ってみたかった/角田光代、佐内正史 |
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2001年1月から2002年3月の間、雑誌の連載のために、
作家・角田光代と写真家・佐内正史の2人は、毎月1回、東京の街を歩いた。
角田光代にとっては、ほとんどが初めて訪れる見知らぬ場所だったのに、
「私自身の奥底に眠る、私のまったく知らない記憶」が蘇ったと
「あとがき」に書いている。 16の話は、エッセイのようだけど、すべて架空の「記憶」。 しかし、佐内正史の写真と相俟って、どこか懐かしいような既視感を感じる。 街が持つ「記憶」を誰もが共有するということが、 「東京」にならあり得そうな気がした。 |
死神の精度/伊坂幸太郎 |
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「私」は死神。
といっても、冷酷な悪魔のような存在ではなく、
きわめて事務的に死の判定を下すだけ。 この死神を狂言回しにした6つの短編からなる。 クールでスタイリッシュな文体。 絶妙な伏線とストーリー展開。 かな〜り好きです。 「伊坂幸太郎」は、私のお気に入りリストに入れたいですね。 |
スモールワールド/サタミシュウ |
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「野生時代」連載中に、その過激なSM描写と、
某有名作家が匿名で書いているということで話題になった。 確かに中盤までは凄いものがあるけど、 終盤、取って付けたような理屈を付けて、 中途半端にまとめようとしたのが残念。 「あとちょっとでイキそうだったのに・・・」って感じで、不完全燃焼。 結局、官能小説の落とし方というものが思いつかなかったのかもしれない。 |
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